学生交流会「第5回先輩医師と話そう」 大盛況でした

   

ロールモデルである先輩医師の経験を、医学生や研修医とシェアする会、学生交流会「第5回先輩医師と話そう」(主催:福岡県医師会)を、平成28年10月4日に行いました。

 

 

 

元気プロジェクト委員会 山川委員長による開会挨拶

元気プロジェクト委員会 山川委員長による開会挨拶

 

 

ロールモデルとして、小児科の満尾美穂先生(現在、育休中)と病理学の近藤礼一郎先生にお話いただきました。

 

近藤先生のご講演

近藤先生のご講演

 

50名が参加しました

 

 

佐藤理事の閉会挨拶

佐藤理事の閉会挨拶

 

 会には医学生を始め研修医や医師、計50名が参加。部屋からあふれるほど大盛況でした。

 

あまりの盛況ぶりで、いつものアンケートが取れませんでしたが、「専門医もどんどん取りながら、子育てにも力を注がれる満尾先生はすごい!」「近藤先生の話に感動した。医師が仕事を休むことの大変さを、改めて考えさせられた」などの感想が寄せられました。

 

 

満尾先生と近藤先生、実は二人は研修医同窓生です

満尾先生と近藤先生、実は二人は研修医同窓生です

前委員長の鹿毛先生も参加されました

前委員長の鹿毛先生も参加されました

 

 

満尾美穂先生のご講演要旨

 

演題:「悩める女医の生きる道~私の選択」

 聖マリア病院での2年間の初期研修後、久留米大学の小児科に入局された満尾先生は、大学病院や聖マリア病院・大分こども病院で勤務をしながら、小児科専門医(医師6年目)、血液専門医(医師9年目)、小児血液・がん専門医(医師10年目)を取得され、今年はがん治療認定医取得予定です。

初期研修医時代に出会った夫(同期入職のER看護師)と、ちょっと長い(?)交際期間を経て、35歳で結婚。現在、8か月になるお子さんがおられ、育休中です。

 

 妊娠中も様々な学会へ参加され、小児血液・がん専門医を取得されるという、パワフルな働きぶり。育休中の現在も、実家のサポートを受けながら、週1回の専門外来や学会・研究会への参加を欠かさないそうです。また小児科医として求められそうなベビーマッサージ講習を受けたり、実家への親孝行、お弁当作り・主婦業など、育休中の貴重な時間を有効に使っておられます。

 ご自身のキャリアを振り返って良かったことは、“研修医制度で外に出たこと、”久留米大学小児科に入局したこと”、“条件を満たした段階でなるべく早く専門医を取得したこと”、“キャリアを積んでから結婚・出産したこと”を挙げられました。

 

 最後に、「今を大切にして、今できることを一生懸命に!」と、メッセージを送られました。

 

 

近藤礼一郎先生のご講演要旨

 

演題:「急ですが、私は仕事を休めますか?」

 「妻が次女を妊娠中(37週)に、長女(2歳)が風邪をひきました。長女は風邪をひいた翌日、急に状態が悪くなり、救急車で聖マリア病院に搬送され、小児ICUに入院。担当医から生命に関わる状態と告げられ、場合によっては1か月以上の入院・付添が必要と言われました。さらに長女が入院した翌日、妊娠中の妻の状態も悪くなり、その3日後に帝王切開で次女出産となりました・・・」

 

 近藤先生は不測の事態を嘆くヒマはなく、とにかく自身が仕事を休まないといけないので、職場の上司3人に相談。3人ともに快く「いいよ」と背中を押して下さったそうですが、大学の窓口に相談に行くと、「休む1か月前に申請が必要(つまり今すぐは無理)」との返事でした。

 *ちなみに久留米大学では、産休は男性は2日、育休は男女問わず1年が取得可能

 そんな時に手を差し伸べてくれたのが職場の同僚3人。近藤先生の仕事を肩代わりしてくれ、近藤先生は休みを取れたそうです。

 

 近藤先生はお話のまとめとして、年次休暇・産後休暇・有給休暇・看護休暇を利用して約1か月の休みを取得できたが、医者も社会人なので、職場の定めた休業のルールを守ることは大切で、休む時に就業規則は参考になると説明されました。しかし制度だけでは対応が難しい場合もあり、個別へ柔軟な対応ができる体制作りが望まれると指摘されました。また職場の上司や同僚のサポートが不可欠なので、普段から良好な関係を築くこと。さらに不測の事態が起こった時に、「お手上げ」になるのではなく、皆がうまく行くように、皆で最善の策を考えることが大切と話されました。

 

学生交流会「第5回先輩医師と話そう」チラシ(PDF)

 

 

学生さんの感想

 

企画の段階から積極的に参加して下さり、当日の司会進行をされた学生さんの感想です。

 

川上 真代 さん(医学科4年)  

 「先輩医師と話そう」のご講演で、女性医師でも結婚・出産とキャリア形成が同時に成し得ること、しかしもしもの時に備えて就業規則には目を通しておく必要があるということを知りました。満尾先生がいくつもの専門医資格を取られていることや、産後早い段階で週1回の専門外来に出られたり学会に参加されていることに驚きましたが、やる気と周囲の理解・協力があれば可能なことなんだと、自分の将来に広がりを感じました。近藤先生のお話では、万が一のときに慌てないために、結婚・出産を考える時期には就業規則を夫と共にあらかじめ確認したり、勤務先選びの際にそのサポートが充実している病院を選ぶなど、そんな点にも備えをしておくべきだと気付かされました。

 なかなか先輩医師にこのようなプライベートなお話を伺える機会がないので、想像以上に得られるものが多く、今回は本当に貴重な機会になりました。このような会が今後も続き、これを参考に仕事・プライベート両方を満足に充実させられる医師がたくさん増えればいいなと思います。

 

川上 拓哉 さん(医学科4年)

 今回の学生交流会に参加させていただいて、「男は仕事。女性は家事。」という固定観念やライフスタイルが、周りの人の理解と支援、そして職場のサポート体制の完備によって、十分変えていけるものであると強く再認識しました。今回ご講演された御二方の先生のお話をふまえて順に記述すると、満尾先生のお話では、できるだけ早く専門医を取得したことに加え、育休に関して職場の理解が得られたことがキャリア形成の一つの大きな要因だと思いました。「母」としてだけでなく、「医師」としての志も大事にされる満尾先生の力強い在り様に驚くと同時に、もし今まで出産・育児で職を捨てるしかなかった女性の方々が、先生のように、キャリアを保ち、仕事に復帰できる機会を得られるとしたら、社会はもっと生産性を上げ、潤うのではないかと思いました。

 近藤先生のお話では、不測の事態になり、どうしても長期の休みが必要になったとき、休業の制度の壁に直面しながらも、職場の上司と同僚に仕事をフォローしてもらうことで、家族の危機を乗り越えることができたことを受けて、やはり職場での理解と支援が重要であること、そのために良好な人間関係を築くことが必要不可欠であることを学びました。重ねて、休業の制度の限界を感じました。思っていた以上に、申請に制約があり、これでは個々の事情に対応できないと思いました。先生がご指摘されたように、柔軟な対応ができる体制を全体で考えていく必要があると思いました。

 御二人の先生のエピソードに共通して言えることは、職場における周りの人の存在の重要性だと思います。男女関係なく、どんな人にも職を全うする自由と義務があり、家族を守る使命があります。時に一家族だけではそれらが双立しえない状況があっても、周りが支え合うことで変えていけると思います。そして、不完全な職場環境・制度があったとして、それを変えられるのもまた、周りの人の声だと思います。支援の輪を職場、そしてゆくゆくは社会全体に広げていくこと。それが、男女関係なくだれもが仕事と家庭を大切にできる社会づくりの第一歩だと思います。